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【書評】13歳からのアート思考(末永幸歩著) 解なき現代の指南書

生活に役立つ本
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【7分で分かる】13歳からのアート思考 正解のない現代の指南書

今回は、末永幸歩さんの著書「13歳からのアート思考」をご紹介します。

いきなりですが、みなさんは美術は好きでしょうか。正直、私は苦手意識を持っています。

中学生が嫌いになる教科では、第一位が美術。本書のタイトルにもある通り、「13歳」が好き嫌いの分岐点になるそうです。

ですが、この本を読み終えた後、「大人こそ、最優先で学び直すのが美術」と思えるようになりました。ビジネスはもちろん、人生にも、美術鑑賞から学ぶことは応用できると思います。

ポイントを整理してお伝えしますが、その前に、この本は、絵画がふんだんに使われています。電子書籍では白黒になってしまう可能性があるので、紙の本で読むことをおすすめします。

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なぜ、美術を最優先に学び直すべきなのか?

結論から言えば、「アート」とは、上手に絵を書いたり、美しい造形物をつくったり、名画のうんちくを語れるようになったりすることではありません。

「アーティスト」は、作品を生み出す過程で、ビジネスにも通じる、3つのことをしています。

それは、「自分だけのものの見方」で世界を見つめ、「自分なりの答え」を生み出し、それによって「新たな問いを生み出す」。アートとは、まさにこうした思考プロセスです。

ビジネス、学問、人生問わず、結果を出したり、幸せを手にしている人は、「自分のものの見方」を持っています。

美術の授業の本来の役割は、作品の作り方だけを学ぶものではなく、その作品の根本にある「アート的なものの考え方」、つまり「アート思考」を身につけることなのです。

「アート思考」とは何か?

著者はアートを植物にたとえ、「表現の花」「興味のタネ」「探求の根」の3つの要素から成り立っていると説明しています。

地表部分に咲いている花が「作品」に当たり、植物の根元にあるタネが、興味や好奇心、疑問といった感情です。そして、タネから出る無数の部分が、「探求の根」。

アートで最も注目されがちなのは、地表の花の部分ですが、空間的にも時間的にも、植物の大部分を占めるのが、地表に顔を出さないこの「探求の根」なのです。

この根っこが一つにまとまった瞬間、突然地表に「表現の花」が咲きます。アートの本質は、作品が生み出されるまでの過程と言えるのです。

真のアーティストは、花を咲かせることに、あまり興味を持っていません。むしろ、根っこがあちこちに伸びていく様子に夢中になり、その過程を楽しんでいます。花は単なる結果でしかないと知っているからです。

一方で、アーティストの中には、タネや根のない「花だけ」を夢中につくっている人もいます。著者はこうした人を「花職人」と呼んでいます。

花職人は気づかないうちに「他人が定めたゴール」に向かって必死に手を動かしています。立派な花をつくることで、高い評価を受ける人もいますが、成功を収めても、模倣できる花職人が現れるのは、時間の問題です。そうなった時、既存の花づくりの知識、技術しか持たない人は、打つ手がありません。

真のアーティストは、自分の好奇心からスタートして、価値を創出する人。花職人との違いは明確で、どちらが社会で必要とされるか、論じる必要もないでしょう。

今後は「正解をみつける力」より「正解をつくる力」が大事になる

2007年に生まれた日本の子供の半数は、107歳より長く生きるそうです。

13歳の人が、107歳になるのは2114年。いったんどんな世の中になっているのかはもちろん、10年後の未来ですら、予測することはできません。

もはや「もうこれさえやっておけば大丈夫」という価値観は通用しない時代なのです。自分の内側にある興味をもとに、自分のものの見方で世界を捉え、自分なりの探求をし続けること」。つまりアート思考が大事になってくるのです。

では、どうやって、自分の興味をみつけ、価値を創出するのか。本では6回の授業が組まれ、自分がいかに常識にとらわれていたかを痛感させられました。中でも、私が最も印象に残ったのが、デュシャンの「泉」にまつわる話です。

この作品。20世紀のアートに、最も影響を与えた作品の第一位に選ばれています。みなさんは、なんだと思いますか。少し考えてみてください。

 

正解は、ひっくり返したただの便器です。

発表したのは、1917年。捨ててあった便器に、ただサインをしただけのこの作品は当時、「こんなものはアートではない」と大きな批判が巻き起こったそうです。

ですが、今では最も影響を与えた作品に選ばれています。なぜなら、この作品が、これまでのアートの常識を覆したからです。

デュシャンは「アートは美を追求するものなのか?」という疑問を持ちました。自分の中の疑問を放置せず、自分なりの答えを生み出したのです。泉は、「表現の花」を極限まで縮小し、反対に「探求の根」を極大化した作品と言えます。

「視覚」で楽しむから「思考」を楽しむへ、アートの常識を打ち破ったのです。

みなさんは、前提や常識に縛られる日々を過ごしていませんか?

彼のような偉大な芸術家にはなれなくても、常識を疑い、そこから自分なり考えを深め、答えを探る。ビジネスの世界にも応用できるプロセスではないでしょうか。

まとめ

子供たちによく、「なりたい職業は?」と選ばせますが、これ自体がもうナンセンスな質問なのではないでしょうか。例えば、ユーチューバーなんて、20年前には存在しなかった職業です。

これからの子供たちに必要なのは、すでに存在する職業の中から「正解」を選ぶ力ではなく、「職業そのものをつくる力」と言えるでしょう。

これは何も、子供だけに限りません。現代を生きる大人にも、この「アーティスト的な生き方」は強力なオプションになります。

現代社会はすでに、「表現したもの勝ち」というルールになりつつあります。洞察力のある人は気づいていて、だからこそ、「アート的なものの見方」が急速に見直され、この本が注目されているのではないでしょうか。この本を参考に、美術鑑賞を通じて、「自分なりの考え方」を取り戻してはいかがでしょうか。

最後までご視聴ありがとうございました。

もしこの動画が気に入ったという方は、チャンネル登録をよろしくお願いします。

これからも私が実際に読んで、おもしろいと納得した本を紹介します。

では、本日も良い一日をお過ごしください。

【7分で分かる】13歳からのアート思考 正解のない現代の指南書