みなさん、こんにちは。
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今回は守屋洋(もりや・ひろし)さんが翻訳した、中国の古典「菜根譚(さいこんたん)」をご紹介します。
菜根譚は明の時代、つまり1600年代に記された中国の古典です。
人の道を説く「儒教」、のんびりした人生を促す「道教」、悩める心を救済する「禅」。
この三つの教えが一体となった、不思議な魅力のある古典です。
菜根譚はなぜか、本場中国よりも、日本で人気があります。
まさに、日本人に合う「処世術」が盛り込まれているからです。
松下幸之助、田中角栄ら、多くのリーダーが愛読したこの菜根譚。
私が実際に読んで、参考になった10の心得を、分かりやすくご紹介します。
①自分を向上させるには
たえず不愉快な忠告を聞いて、思い通りにならない出来事を抱える。
そうすることで、自分を向上させることができる。
菜根譚はこう説いています。
耳に心地よいことばかり聞かされ、思い通りになることばかり起こっていたら、どうなってしまうのか。
それは、自分の人生をわざわざ「毒びたし」にしているようだものだとも。
忠告は、聞かされる方にすれば、決して快いものではありません。
ですが、これによって、どう対応するかによって、人間としての器量が問われます。
器量ばかりではなく、成長を遂げるか、成長を止めてしまうかの分かれ道ともなるのです。
②得意の時と失意の時
待遇に恵まれていることが逆に仇となって、災難に見舞われることがある。
なんでも思い通りになるような時こそ、むしろ気持ちを引き締めてことに当たらなければなりません。
逆に言うと、挫折した後で、成功のきっかけをつかむこともあります。
たとえ、八方ふさがりの状態に陥っても、あきらめて投げて出してはいけない。
菜根譚では、幸と不幸は循環しているものだと説いています。
好調な時こそ、いっそう気を引き締め、不調な時はまた良い時が来るさと思う。
しぶとく耐え忍ぶことが処世の道です。
③人生の四つの戒め
菜根譚には、社会人としての、守るべき4つの戒めが書かれています。
利益は、人より先に飛びつくな。
善行は、人に遅れをとるな。
報酬は、限度を越えてむさぼるな。
修養は、できる限りの努力をせよ。
ここでより大事なのは、報酬のくだり。
人の欲は、限りないものですが、限りないものが欲であるということを心に刻み、このぐらいにしとこうという気持ちがが大切。
欲に目がくらむと、いつか必ず、足元をすくわれる時が来ます。
④人を怒る時には
人を叱責するときには、あまり厳しい態度で臨んではいけない。
相手が受け入れられる限度を、心得ておくべきだと説いています。
人に対して厳し過ぎるのは、なぜまずいのか。
それは、人が寄り付かなくなり、下手をすると、反撃を食らう恐れがあるからです。
感情に流されてはいけない。
バランス感覚の重要性が、菜根譚には多く盛り込まれています。
⑤一歩さがって道を譲る
狭い道を行くときには、一歩下がって、人に道を譲ってやる。
おいしいものを食べる時には、しっかり分けて相手にも食べさてあげる。
こんな気持ちで人に接することが、もっとも安全な世渡りの極意と説いています。
ちょっと腹黒い考えですが、ただ譲るだけではなく、そこには綿密な計算がなければなりません。
中国の別の古典には「終身(しゅうしん)路(みち)を譲るも、百歩を枉(ま)げず」という言葉があります。
いみは、一生道を譲り続けたとしても、その合計は百歩にも満たないよ、という意味です。
譲って失うものより、見返りの方がはるかに大きいという計算があります。
トラブルに巻き込まれないようする、処世の知恵です。
⑥何事も控え目に
何事につけても、余裕をもって、控え目に対処せよ。
そうすれば、人から危害を加えられることがない。
処世で大事なのは、「余地をとどめる」ということ。
力を出すにしても8割にとどめ、利益を追求するにしても、2割は人のためにとっておく。
なぜ、これが良しとされるのでしょうか。
それは、それだけ余裕をもって控え目に生きていると、人から足を引っ張られることが少なくなるからです。
⑦水が清すぎれば、魚は住まず
汚い土には作物が育つが、菌がひとつもいないような、きれいすぎる水には魚は住まない。
汚いものもあえて受け入れる度量をもってこそ、賢い生き方と言えます。
独りよがりの清潔は、絶対に避けましょう。
完璧さを求めて、人の細かいところまで目が届きすぎると、人は寄ってこなくなります。
何事もほどほどに。清濁併せ呑む覚悟が重要なのです。
⑧人の値打ちは人生の後半で決まる
若い時にどんなにやんちゃしても、晩年に身を固め、誠実に生きていれば、若い頃の浮いた暮らしは負い目になりません。
人生はいつでも逆転できるのです。
ただ、初めにうまくいった人でも、それを終わりまで持続させることはとても難しいものです。
晩節を全うするのは、簡単に見えて、とても難しいこと。
だからこそ、後半生の生き方で、その人の値打ちが決まってくるのです。
⑨影は残らず
風が吹けば、葉っぱは揺れますが、吹き止めばすぐにまた、もとの静寂に戻ります。
生き方のうまい人の心は、鏡のようなものです。
来るものはそのまま映し出しますが、去ってしまえば、なんの痕跡も残しません。
どんなものにも対応できて、心を傷つけない。鏡のような心境を目指しましょう。
⑩人の心を動かすには
せっかく大金を与えても、「ありがとう」の一言すら聞けない時もあるし、いちど飯をおごっただけで、一生感謝される場合もあります。
戦国時代、ある国王は、スープ1杯の恨みで国を失い、ごはん一杯を恵んだだけで、権力者から大きな援軍を受けることができました。
わずかな施しでも、相手が困っている時にすれば、効果は抜群。
ですが、些細なことでも、相手のことを傷つければ、大きな報いを受けることもあります。

いかがだったでしょうか。
菜根譚は多くの本が出ていますが、この守屋さんが書いた本が一番まとまっていて、読みやすいと思います。
多くの著名人が、人生のバイブルとしているこの一冊。
ぜひ手に取って読んでみてください。
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これからも実際に読んで、参考になった本を、分かりやすく短時間で解説します。
最後までご視聴ありがとうございました。
本日もよい一日をお過ごしください。