みなさん、こんにちは。
このチャンネルは、忙しい社会人が、聞き流すだけで分かるように、短時間で効率的につくっています。
今回は経済ジャーナリスト、片山修(おさむ)さんの「とよだあきお」をご紹介します。
あきお氏はご存じ、トヨタ自動車の社長です。
大企業トヨタをけん引する男は、どんな道を歩み、何をみているのか。
自動車業界を知らなくても、リーダーとしてのあるべき姿が学べます。
印象に残ったポイントをご紹介します。
根は「アスリート」
「失われた30年」と呼ばれた平成の時代、トヨタは国内で最も時価総額を伸ばしました。
1989年に約9兆円だった時価総額は、2020年2月時点で約25兆2200億円。
そのトヨタを率いる人物が、創業家の3代目の章男氏です。
章男氏は慶応大学時代、ホッケー部に所属していました。日本代表としてアジア大会にも出場する実力者。
根は「アスリート」そのものです。
章男氏本人も「育ちが体育会系でございます」と、社長就任後の講演会で発言するほど。
勝つために何をするべきか、ひたすら前を見続ける。
スポーツで培った情熱、ひたむき、誠実さを社長業のエネルギーとしています。
社内で孤立する
章男氏は、同じ社長を務めた父・章一郎氏から「トヨタに入社しろ」「社長になれ」と言われたことは1度もありません。
章男氏は投資銀行に勤務後、27歳でトヨタに入社。いわば転職組です。
章一郎氏からは「お前のような部下を持ちたい者は、この会社にいない」と言われ、実際、入社してみると、まさにその通りでした。
御曹司として色眼鏡で見られ、「ドラ息子」と軽蔑され、完璧にお客様扱い。
「俺は会社にいない方がいいのか・・・」
こう悩み、何度も会社を辞めようと思ったそうです。
御曹司とは思えない行動力
社内では腫物扱い。
章男氏の周りには、当然、彼を本気で育てようとする上司はいませんでした。
仕事は自分で覚えるしかありません。
入社10年目、生産調査部の係長をしていた時のことです。
ある日、新聞で、トラックの積載効率が悪いことを叩かれました。
どうやって調査すればいいのか。
章男氏は、実際に見て、判断しなければ済まない男です。
部下と二人で、自らハンドルを握り、工場を出発したトラックを追跡。
トラックが停止した時、「運転手に話を聞いてくる」と飛び出し、助手席に乗り込んだのです。
「現地現物でしか、本当の姿は分からない。トラックの問題は、トラックに乗らないと分からない」とのちに語っています。
「頭で考える前に行動せよ。考える暇があったらやってみろ」。とても勉強になるエピソードではないでしょうか。
自分で「師匠」を見つける
章男氏にはもう一つの顔があります。それは、ドライバー「モリゾウ」としての顔です。
40代後半になって、テストドライバーの訓練を始めました。
そこで一役買ったのが、伝説のマスタードライバー成瀬弘(ひろむ)さんです。
成瀬氏は、「もっといい車をつくりたい」と語る章男氏に、「運転のことを分からないのに、ああだこうだ言われるのは迷惑だ」とはねつけました。
ですが同時にこうも言いました。「その気があるなら、運転を教えてやる」
その場で章男氏は頭を下げて弟子入り。その後の猛特訓で、マスタードライバーの資格を得たのです。
章男氏は「正しい運転の仕方を学び、エンジニアとの共通言語を持ちたかった」と語っています。
誰も教えてくれないなら、自ら頭を下げて、師匠を見つけて食らいつく。
この驚くべき精神力から、学ぶことは多いのではないでしょうか。
「笑顔のないところで、いい仕事はできない」
社長として、最も印象深いのが、2009年にアメリカで起きた大規模リコール問題ではないでしょうか。レクサスが暴走し、乗っていた家族4人が死亡した事故です。
当時、飛ぶ鳥を落とす勢いだったトヨタに対し、アメリカ政府も国民も、良くは思っていませんでした。
そんな時に起きた事故。トヨタのブレーキに原因があるとし、アメリカ国内では壮絶なトヨタバッシングが始まります。
アメリカ政府の公聴会に呼び出された章男氏は、入国した際、逮捕されて、もう日本には戻れないかもしれないと、本気で覚悟したそうです。
しかし、窮地に陥れば陥るほど、陽気にふるまう性格。
公聴会の前夜、想定問題を作成する場面で、周りのメンバーは顔面蒼白。
そんな中、章男氏は冗談を言って、何度も笑わせたのです。
公聴会を無事に乗り越え、その後も自らテレビ番組に出演し、アメリカ国民の感情を和らげていきました。
「笑顔のないところでは、いい仕事はできない」を、仕事上の哲学としています。
いかがだったでしょうか。
経営者を扱った本は、いかにも提灯持ちなもののが多いのですが、この本は、そうではありません。
章男氏は日本一の企業の社長なのに、実に人間臭く、魅力的だということが、数々のエピソードでよく分かります。
ビジネスパーソンにもおすすめですし、人物伝としても、とても面白い一冊です。

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最後までご視聴ありがとうございました。
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